英雄クロニクル

マッカ連邦王国初代国王。

飢饉によって小競り合いを繰り返していた小勢力のうち一部族・ゲルメズの民の族長。
刻碑歴966年に一族を率いて周辺部族を平定し、以後約30年の歳月をかけ南方を統一し、刻碑歴995年に連邦王国の初代国王となった。
統一戦争中から生産性の向上を図ってなお貧しい国の維持に見切りを付けており、統一戦争の勢いそのままに豊かな他国への侵攻を開始している。

性格は果断にして苛烈。炎そのもののような男。
元々が遊牧民族であるため、彼の拠点は決して1点に留まることなく必要に応じて位置を変えることが知られており、ブリアティルトにおいて「最も戦場に近い玉座」と呼ばれている。

20代後半～30代前半に見える妖艶な美女だが、詳しい出自は不明。
統一戦争の混乱期に覇王ゼヒュンの参謀として成り上がった自称「フェネクスに仕える巫女」。

元は無力な女であったが、とある灰色の衣を纏った旅人の示唆で特別な刻碑石を発見して以来、フェネクスの巫女を名乗るようになった。

世知と狡知に長けており、他人とはお互い様で利用しあうもの、騙される方が馬鹿だと信じている。
ゼヒュンには戦略面や裏仕事を任されているが、能力的にはともかく人格的にはまったく信頼しあっておらず、多くのマッカの人間に「毒婦め」「女狐め」と基本的に敬遠されている。

腕は確かだが自信過剰で性格が悪い青年戦士。
ものすごい女たらしで相当数の男性と、それなりの数の女性に嫌われている。

なまじ才能に恵まれ腕が立つため、少年期より自分より強い相手と戦う機会が少なく、手数で相手をなぶり殺しにする剣技が身についている。

そんな彼にも南方戦士の熱い血が流れているため、強い相手と戦うのも決して嫌いではない。
ただし敗北を喫することが嫌いなので、負けると随分後まで根に持ち、あらゆる手段を使って勝利しようとする悪癖がある。
現在は自分を下したゼヒュンを下し、王座を簒奪してやろうという野望を抱いており、ことある毎に吹聴しているため、マッカでも周知の事実となっている。

彼の所有する双刀は、敵対していた2つの部族の族長の娘に貢がせたものであり、それぞれ火と水の精霊の祝福を受けた天下の逸品。
刀身から放たれる陽炎や冷気の霧がただでさえ手数の多い彼の斬撃を“千刃”と渾名されるほどに増やして見せ、また幻惑によって彼への攻撃を反らしている。

マッカ連邦王国最南端、マウトマレカ島近郊にあるフェネクスを霊鳥と崇め、炎の精霊と契約し使役する部族に生まれた少女。
通り名の“暗黒紅炎”は「ダークプロミネンス」と読む。

幼少期よりの傑出した才によりフェネクスの巫女として前途を嘱望されていたが、守護精霊を定める際のふとした手違いにより、闇の精霊と契約を結んでしまった。
そのため狭い共同体の中では肩身が狭い思いをし、一時は素行不良に陥った。

その後、部族を離れて統一戦争に参加することで自らの立ち位置を得ることに成功し、元々の快活さを取り戻したが、なかなか他人に気を許さず素直になれない性格が、第2の本性として染みついてしまった

戦場に生まれ戦場に育った誇り高き竜人族の戦士。
“赤の王”に片角を折られて敗れ、配下となった。

勇気ある武人に対しては敵であれ賞賛を惜しまないが戦いを汚す卑怯者は味方でも全力で潰しにかかる。

呪術師の老婆に赤子の頃に拾われた十代前半の少年。

白い肌と太陽の如き金色の瞳を持つ祝福を受けた者。
普段はぼんやりと大人しい感じだが、「精霊の声」を聞くと人が変わったかのようにきびきびと動く。

生真面目で寡黙なケンタウロス族の青年。

生粋の狩人であったが年々減少する獲物の数を憂い、己の弓の腕を活かせる傭兵業に転向した。
基本的に強い人間には厳しく、弱い人間に優しい。

狩猟と採取で生計を立てる妖精族の青年。
部族では一番の腕っ節を誇っていたが井の中の蛙。

オーラムに出稼ぎ傭兵に出ていた事があるが、稼ぎを騙し取られて以来、文明国人に敵意を抱いている。

強い癒しの力を持つ統一戦争孤児の幼い少女。

あまり状況を理解せずに戦場をふらふらしているが、日々の食事に困らず、自分の力が他人に喜ばれている現在の立ち位置は、それなりに嫌いではないらしい。

謎の共生体・吸血蟲を体内に宿した少女。

吸血蟲の分泌液の影響で人間離れした動きが可能だがその代償として血液が消費され、激痛に苛まれる。
唯一痛みを減らす手段は他者より血を奪うこと。

自らの手を汚さないことがクールだと信じている、仲間の手引きとサポートを得意とする青年。
権謀術数で地位を得たワルドナールを崇拝しているが希に便利に使われる程度で相手にされていない。

人並み外れたフィジカル頼みに連日戦場を渡り歩き、実年齢にそぐわぬ実戦経験を持つ古強者な女傭兵。
酒好きだがまったく酔えない体質のため、誰彼構わず酒席に引きずり込み、代わりに酔わせる悪癖がある。

クレア・パティラ。
マッカ連邦王国の一部族・パティラ族の若き族長。

パティラ族の土地は火の《力》を宿した紅玉をなどの宝石を多く産出することで知られており、一族は宝石の発掘と商取引でマッカでは稀少な他国の富裕層に比肩しうる莫大な富を有することになった。

当然そのような土地は他部族に狙われるものだが、クレアの父である先代族長は統一戦争の早い段階でゲルメズ族の傘下に収まり、多くの戦費を提供するかわりにその庇護を得ることとなった。
幼い頃より父を通じてゲルメズ族族長――現・マッカ連邦王国初代国王ゼヒュンと面識のあったクレアはその人物に惚れ込んでおり、父亡き後は族長として、ブリアティルト統一戦争にも戦費を提供し続けている。

常に最前線に身を置く“赤の王"の影響か、自らも筋骨逞しい８人の男が担ぐ黄金の輿に乗り、前線に赴くこともしばしば。上に立つ者らしく後方より命令を下すことが多いが、いざという時は意表を突く行動に出ることも。

マッカのオアシスに住む淡水セイレーン。

昨今の干ばつや戦争の影響でオアシスが干上がらないか心配しているが、傍目にはあまり深刻そうに見えない。

豊かな土地――何より水源を求めて戦い続けるマッカの戦士を応援しており、その歌声と踊りは戦士達の猛き魂を大いに鼓舞する……が、お世辞にも歌もダンスもあまり上手いとは言えないらしい。
それでも不思議と士気高揚に繋がるのは、セイレーンという種族に端するものなのか、あるいは彼女個人の資質によるものなのかは応援された者同士でも論を異にするところであるが、「たっぷん」と呼称する水の精霊を召還することで彼女の影響力が大きく上がるため、現在のところ水精由来の《力》という意見が優勢と言われている。

水精であるため陸上での活動は得意ではなく、大変臆病で、人の気配がなくなると泡になって消えてしまう

ケモ・ケモーナ。
マッカ連邦王国の一部族・ケモーナ族最後のひとり。

ケモーナ族は獰猛な魔獣を意のままに操る技を伝えており、少数からなる部族であったが周辺部族に恐れられていた。
マッカが連邦王国として統一される途中、結託した周辺部族によって攻められたケモーナ族は、生き残りのケモが表舞台に現われるまでは滅びたと思われていた。

マッカの“守護霊鳥”フェネクスを操る技術を求め、ケモーナ族の足跡を辿っていた潜入調査中のヴァルトリエ帝国魔導科学省所属の科学者と争っている姿をケンタウロスの傭兵に発見され、“赤の王”ゼヒュンの御前に招聘された。

長く魔獣とのみ交わる暮らしをしていたため、人間の友達がいない。

イズレーンとマッカの国境付近の部族出身。
狩猟民族由来の遠視能力、高い動体視力、空間認識能力を持ち、赫翼竜と呼ばれる飛竜の一種の骨を削り出して作った投擲棍は狩猟のみならず戦場においても脅威となる。

刻碑歴982年、マッカの一部族であったオンスル族のラゴラオが“四神将軍"として一族を率いてイズレーンに移住した際、交友関係のある周辺部族や、ラゴラオ去りし後のマッカ統一最有力候補のゲルメズ族と非友好関係にある部族もイズレーンに向かった。
一方、にわかに空白地の増えたマッカ東部は豊かな植生・生物相も相まって残った部族、近隣より押し寄せた部族による領土争いの場となり、“赤の王”ゼヒュンが平定に乗り出すまで激しい争いが続いた。

そんな環境で短くない少年期を過ごした彼にとって、圧倒的武力でもって瞬く間に争いを収めた“赤の王”は紛う事なき英雄であり、付き従うべき主であった。
以降、彼の忠義は“赤の王”に捧げられ、“犬”と揶揄されても微塵も揺るぐことがない。その純粋で一本気な性格は地道な努力を厭わぬ長所にもなるが、視野狭窄をもたらす短所でもある。

ワルドナールの配下にあたる従巫女の少女。

出自は不明だが、統一戦争の際に親族の絶えた孤児と見られており、古くからフェネクスを祀るモズネブ族の出身ではない。

似たような境遇の少女をワルドナールは何人も囲い込んでおり、各部族への伝令役や、時には他国の情報収集に従事させたりすることもある。

彼女はワルドナールの策に応じた振る舞いをする器用さは持ち合わせていなかったが、火力のある炎を扱う才は群を抜いており、ワルドナールが“霊鳥の巫女”として武力を魅せるパフォーマンスを行う際に付き従うことが多い。

怜悧な美貌に浮かぶ表情は乏しく、感情を表に出すことは少ない。
基本的にはワルドナールの指示には素直に従い、良識ある者なら眉をひそめるような策も顔色ひとつ変えずに実行する。

“赤の王”が主導する他国への侵攻にはたいへん積極的な態度を示し、時には指示や他勢力との協定を無視して戦うことも少なからずあり、いわゆる「扱いやすい駒」とは見られていない。