総評
受賞作品
NPC部門受賞作品
“新緑騎士”
トラウム
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運営チームコメント
「英雄クロニクル世界出身のバースセイバー」という、今回の両タイトル共通イラストコンテストの代表ともいうべきトラウム。
彼のデザインで最も重要視したポイントは「善性と前向きさを表す表情とポーズ」、そして「騎士風の“冒険者”」という2点でした。
設定書にあるセリフが脇に置かれた時の自然さ、同じく設定から読み取れる多少泥臭くもある冒険者像。
正面向きで足をしっかりと開き安定感のあるポーズから感じ取れる、キャラクター性能。
(攻撃重点ではない防御ができるアタッカー。単に防御力が高いのではなく味方を守れる。等々)
その点において彌藤さんの描かれたトラウムは最もそれを表現できていたのではないでしょうか。
絵からだけでしっかりとそれが伝わり、その上でコメントを読めばなるほど納得という感想でした。
設定を担当したスタッフと解釈が一致していた点も採用に至った大きなポイントでした。
設定された内容からしっかりと背景を読み取り、自分の中で考えたうえで、解釈した内容を表現。それが絵から正しく伝わる。
これは非常に難しいことですが、キャラクターデザインを職とするならば必須の力です。
まだまだ技術的に至らない箇所もあれど、この点において彌藤さんはこの先に通じる強い武器をすでに備えていると思います。
ユーザー投票においても両タイトル合計で1位を獲得していますから、絵に込めたメッセージが伝わったという事ではないでしょうか。
トラウムは1位と2位がそこそこ接戦でしたが、最終的に差をつけたのはこの解釈力だと思います。
今回のトラウムは少年という取り組みしやすい課題に、「ちゃんとした鎧を描く」という難しい課題がありましたが
全般的にしっかりした鎧を描いてくださった生徒さんが多く、今の専門学校生のレベルは高いなと感じられました。
残念ながら選ばれなかった作品の生徒さんたちも、今後もこのまま努力を続けていただけたらと思います。
“流動する機械”(リキッドマシン)
プルスマ
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運営チームコメント
元会社勤め・現ジャスティスフォースのおっとりVS能力者プルスマ・マナリー。
運営チームの判断により、今回採用はnasubiさんのプルスマとなりました。
ユーザー投票では、ほぜざうるすさんが他に一歩差をつけての1位でした。
その人気も納得のキャッチーで可愛らしい、完成度の高いキャラクターデザインで仕上げていただきました。
今回オーダーは「謙虚でおっとり」「元会社員」「悪と戦うより、道端の人々を助けてあげるほうが性に合う」などでしたが、戦闘スタイルやポージングが攻撃的かつ自信のありそうな様子で、心優しさよりもやんちゃさ・幼さが目立つ印象を受けました。
また、本体ボディ色が既存ネームドキャラであるカレントと被る青系統なのも少々気になりました。
nasubiさんのデザインですが、丸みのある本体ボディや柔和な表情にプルスマの設定がよく反映されていました。
また、足や腹回りの食い込みなど、大柄でありながらも愛嬌が感じられる点や、内股の立ち方もプルスマのオーダーに大変合っており、立ち絵からキャラの人となりが窺い知れる良い要素でした。
添えられたコメントを読むことでデザインに対する理解は深まりますが、まずは第一印象で「きっとこういうキャラなんだろうな」「オーダーに沿っているな」と見た人が納得するデザインは重要です。相手がギャップを求めている場合は別として、第一印象からオーダーが読み取れるデザインにすると、オーダーをちゃんと読んだ上で描いている・理解度が高いと見なされ、審査を含む場では有利に働くことでしょう。
nasubiさんにより「プルスマ」が具体化され、より個性の際立ったキャラクターとなりそうです、ありがとう御座いました。
“二つ名未定”
名称未定(電脳仙人)
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運営チームコメント
名称未定の電脳仙人は今回の自由枠であったため、バラエティに富んだ多くの力作が集まりました。
キャラクターとしてのベクトルも多方面に矢印が向いており、ユーザーの方も優劣を決める基準が不明瞭で投票先を決めるのには苦心したのではと思われます。
実際、上位入賞作を見渡しただけでも性別・年齢幅・サイバー度合いなどてんでバラバラなものに票が入っています。
さらに言うなら票数の偏りも少なく1位と2位の差は僅か2票差。総票数から比べると、誤差とも言える違いしかありませんでした。
そして運営側の選考が入った結果、2位の吉田愛さんの作品が採用となりました。
選考で重要視したのは「中華風サイバーパンク世界」という“世界観”がどこまでキャラ絵としてデザインに落とし込まれ、その雰囲気が見た人に伝わるかという点です。
1位のおとはさんの作品も単体で見ればしっかり中華要素も未来風な要素も備えているのですが、キャッチーでポップな絵柄もあってか、ともすれば別部門のプルスマと同じ「ヒーローが活躍するジュブナイル」のキャラクターといった印象の方が強く出てしまっています。
個性的な絵柄は持ち味なので、今後もより良く伸ばしていってもらいたいアピールポイントですが、こういったコンテストにおいては向き不向きが発生してしまうケースもあるでしょう。それでも貫ける武器を磨くか、複数の武器を持つべきかは難しい問題です。
3位のマーブルさんの作品は個人的にはとても好きだったのですが、こちらもサイバーパンクというにはヒーロー色が強すぎ、また採用以降は常にそのキャラが世界観を伝えるフィルターとして作用することを考えると、残念ながら先鋭化しすぎたデザインでもありました。
一方、2位の吉田愛さんの作品ですが、サイケデリックで派手なパーツを持ちながらどことなく落ち着いた風合いが、明るく正しいヒーローではなく退廃的な面も持つサイバーパンク世界のキャラらしさになっています。
またいい意味でアクが少なく世界感を広げていく基準点となってくれそうなデザインとなっています。
上位作品はそれぞれ画力も高く、題材によってはどれが選ばれてもおかしくない接戦でしたが、そうなってくるとやはり最後はどれだけ「何が望まれているか」を読み取り表現したものになってきます。
専門学校で学んでいる皆さんからは今後プロとしてキャラクターデザインをする方も出てくるかと思いますが、人気デザイナーになってからもその点は忘れずにいて欲しいと思います。
2017年より続く当コンテストですが、本年2022年も無事に開催することができました。
今回は先生方のご手配等も大変な中ではあったかと思いますが、オンライン含め生徒さんにレクチャーする機会にも多く恵まれました。その結果、お題への理解度が高い作品が多く、特にユーザー投票上位の作品はどれが採用となっても不思議ではない出来栄えでした。
採用された方、上位に入賞された方はもちろん、ご参加いただいた方それぞれがレベルアップの機会となったのであれば大変嬉しく思います。生徒さんにはぜひ、今後もご自身で考えられたオリジナルキャラクターのデザインに取り組んでいただけますと幸いです。
さて、今回のコンテストでは「英雄クロニクル」「バースセイバー」という2作品に登場するキャラをお題としましたが、おかげさまで大きな問題もなく公開から投票まで進めることができました。
両ゲームで投票していただいたユーザー様、ありがとうございました。またご協力いただいた先生方、このたびはご参加と快いご協力、誠にありがとうございました。
皆さまにこの機会を再度ご提供できるよう、運営チーム一同尽力してまいります。
「英雄クロニクル」「バースセイバー」運営チーム一同